カメリアの記事

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落書き - gr050 父が吼えていた(僕の嘆き)

父が吼えていた。「600万だで、どげ思う」と言っていた。「600万だぞ、どう思う」という意味だ。自室から出たすぐの窓から声が入ってくる。台所の声だ。隣の空き家に反射しているのだと思う。

父はしばしばああやって怒りを吐き散らしている。母に対してだ。母に対する怒りではない。他の何かだ。他の何かが問題だった。僕のことのような気がしていけない。自覚がある程度には僕はろくでもないからな。

しかし父の怒りの原因は僕ではない。僕は燃料だ。火を着けるのはストレスだ。父はストレスを溜めやすい。ヤクザもんみたいな服を着たり自宅内で威勢がいいのだけど、外向きには頭が低いしいいおじさんだ。

要するに気が弱い内弁慶。外では僕と同じ虐められ体質だ。虐められて何度か会社を移っている。そんなんだから言いたいことも言えずにストレスを溜め、どこに向けるかというと母だ。誰かや何かを燃料にして吼えたくる。

母はわりと鈍感なようで堪えないみたいだ。堪えているのかもしれないけど、そんなふうはない。父の怒りに気づいてないこともあるので、たぶん鈍感だ。僕が敏感過ぎるのかもしれないけど、いや、あんなに吼えたくられて普通に生活できるんだから鈍感なんだよ。

父は昔からそうだったんだろうか? 僕が子供の頃にあそこまでヒートアップしている父を見たことは少ない。祖父に対してや祖母に対してえらい剣幕だったのは覚えているけど、うーん、母に対して吐いているのは僕が大人になってから、つまり父が年をくってからだ。

まぁそもそもかわいそうな人ではある。若い頃は祖父との戦いで自由にできず、そのうちマイホームのローンに僕を学校に行かせることに金が必要で我慢して我慢して生きてきた。年くってからは転職が理由らしいが年金が少なく働き続けないといけない。僕というお荷物を背負って働き続けないといけない。

考えてみれば僕は心の中で父を責め立てていることがある。理論武装して言葉で責める想像をしているのだ。いけないことだと気づいてやめるけど、やめるけど気づいたらやっている。父と変わらないのだ。何に・誰に対してがなり立てるかの違いしかない。

なんというか、ただ憂鬱だ。父が安らかにあればいいと思う。父が仕事やめて三人で貧しく暮らせばいいのかな。でも僕はまだ人生諦められないし。生きるには金が要る。なんで金のかかる人間になっちゃったかなぁ。