つらいときに「みんなつらいんだから」と言われるのに反発する声が絶えない。他人は関係ない、自分はつらいのはイヤだ。というようなことらしい。そりゃもっともだ。確かにそうだ。言っていることは正論だ。でも正論じゃ成り立たないのが世の中だ。
つらい人が「つらい」と主張したとき助けてあげられる人は少ない。何もしてあげられない。それは心苦しい。心苦しいからやめてくれ、というわけだ。つまり煩わしいから黙ってろ、と。そういう善意込みの事情というのがある。
他方、当たり前のことを言うな、というのもあるだろう。みんなつらくても黙ってやっているのはつらいのが当たり前だからだ。みんな黙ってやっているのに、自分ばかり主張するのはやめてくれ、と。つまり煩わしいから黙ってろ、ということだ。
そんなこんなで、つらいことを表明することにはいくらかの悪がある。そのあたりを自覚していたらもう少し暮らしやすくなるんじゃないだろうか。
