過去は本当にあるんだろうか。人間は過去を思い出すことができる。記憶の中にあるからだ。未来は本当にあるだろうか。人間は未来を見通すことができる。想像の中にあるからだ。だが、その記憶と想像が存在するのは「今」だ。今というこのときに感じることしかできない。人間は常に今を生きている。
しかし過去を捨てることはできないし、未来のビジョンをなくすこともできない。苦労した過去を無価値として顧みないことは難しい。予期する未来を無価値として気にかけないことは難しい。僕は性格から気にしないタイプだが、全く無視することはできない。人それぞれ程度の差こそあれ過去と未来に縛られている。
とはいえ注力すべきは今だ。過去も未来も今の自分の内にあり、その過去と未来は今このときにのみ存在する。次の瞬間には過去の意味が激変する真実を知ってしまうかもしれない。予期していた平凡な明日は来ないかもしれない。だから今この瞬間の満足をこそ大切にすべきだ。過去の苦労で得た今の満足があるだろう。未来に備えて苦労する今に満足することもあるだろう。そういうかけがえのない今の満足が積み重なって幸せになる。