出版社サイト:https://gihyo.jp/book/2021/978-4-297-12203-4
基礎的なことが丁寧に解説されています。読みやすく分かりやすい書き方になっていました。脚本術の本 *1 が「何を書くか」を示しているのに対し、この本は「どうやって書くか」が示されています。アイデアの発想法やプロットを作り始める手順など、必要な技術について幅広く扱われていました。
*1: 『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』『SAVE THE CATの法則』『「感情」から書く脚本術』など。
ゲームシナリオの本なのでゲーム関係の話が基本になりゲーム的な発想も見られます。プロットより舞台やキャラクターが優先される作り方はゲームらしいのかもしれません。僕としては新しい知見が得られたように思います。また、シナリオを扱うという点では小説と変わりなく、自分ではない誰かの制作方法を知れたのは有用でした。
既に小説制作をしている目線では次の4つがメインになります。
- 舞台設定
- キャラクター設定
- プロット
- 台詞
舞台設定、キャラクター設定については強い葛藤・対立を生むための方法が解説されています。エンターテインメント性が高くなる方法で、実際に取り入れればどうしても葛藤・対立が強くなってしまうような強力なものでした。プロット優先で作ると取り入れるのが難しいように思いましたが使いどころはありそうです。
プロットの章では出来事に要求される基本要素であったり、物語の方向性を決めるときの指針など、「なんとなくイメージは持っていたけど明確な理解でなかった」ところがはっきりと書かれていて学びになりました。
「第6章 自然で読みやすいテキストを書く」では台詞についての内容が秀逸です。小説においては記述を削ることが美徳とされますが、台詞ではゆとりを持って感情を表現することが解かれています。例文はとても参考になりました。
目次
- 第1章 ゲームシナリオライターになろう
- 1-1 ゲームシナリオライターとはなにか
- 1-2 ゲームシナリオライターの現場見学
- 1-3 ゲームシナリオライターに向いている人
- 1-4 誰でもゲームシナリオライターになれる
- 第2章 作り始める前に知っておきたいこと
- 2-1 ゲームとはなにか
- 2-2 すべてはドラマに集約される
- 2-3 準備の質が作品の質
- 2-4 必須武器「アイデア」の作り方
- 第3章 独自性のある舞台を作る
- 3-1 ゲームシナリオライターが作る設定
- 3-2 舞台設定に個性と魅力がある名作
- 3-3 特殊ルールを使いこなす
- 3-4 舞台設定を作ってみよう
- 第4章 よく動くキャラクターを作る
- 4-1 よく動くキャラクターとは
- 4-2 各項目が持つ機能と,設定のポイント
- 4-3 キャラクターに魅力ある個性をつける5つのヒント
- 4-4 キャラクターを作ってみよう
- 4-5 キャラクター作りの最終チェック
- 第5章 結末を知りたくなるプロットを作る
- 5-1 プロット作りの基礎知識
- 5-2 「面白い」プロット作りのヒント
- 5-3 プロットを作ってみよう
- 第6章 自然で読みやすいテキストを書く
- 6-1 ゲームシナリオを書いてみよう
- 6-2 ゲームシナリオの核となる「セリフ」
- APPENDIX ゲームシナリオライターの裏側
- Appendix-1 印象的なプロでの体験
- Appendix-2 ゲームシナリオライターの収入
- 参考文献
- 索引
