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カメリアの記事

意味があることやないことを綴ります

前駆体―伏線のようなものたち

伏線を含んだ大きな枠組みとして「前駆体」というのを思いついた。前駆体は回収の出来事の前に設置されて回収の出来事をより面白くする。

目次

  • 伏線
  • ヒント
  • 予言的示唆
  • フラグ
  • キャッチ
  • 準備
  • 事実の積み上げ

伏線

物語の中に伏線が現れたときにはなんのことだか分からない。だが回収の出来事が起こると「あれはこのことだったのか!」という洞察を読者が得る。緻密さや深みを感じさせることで物語の存在感が際立つ。

作中で何度も現れる赤い糸、その意味が最後の瞬間に判明して鳥肌が立つ、というような働きをする。

伏線は一度しか現れないかもしれないし何度も同じ・違う形で現れるかもしれない。それでも異質な出来事だから、詳しい人には予測されるかもしれない。異質というのは、記憶に残らなければ回収のとき機能しないため、基本的には万人にとって認識が可能な出来事だからだ。もちろん読み返すことで見えてくる伏線というのもあるだろうけれど。

ヒント

伏線に似ているが、回収の出来事を予測させるために設置されるのがヒントだ。チェーホフの銃が近しい関係にある。チェーホフの銃はおよそ「(わざとらしく)銃が登場すれば使われなければならない」というものだが、ヒントとして銃が登場したら誰もが「この銃が使われるんだ」と予測する。

回収の出来事が起こるまで「いつ使われるんだろう」という期待や緊張感が生まれる。銃の登場の他にも、主人公の剣が折れたら新しくより素晴らしい剣を手に入れるのでは、というような期待が生まれるだろう。もしくは心配になるかもしれないが。

ヒントも一度しか現れないかもしれないし何度も同じ・違う形で現れるかもしれない。また当然のこととして読者に認識されなければ機能しないため、それなりに目立つ形で表現される。

予言的示唆

働きはほぼ予言だ。最初のほうで結末を予言するようなセリフや出来事がある。主人公が生まれたときどこからともなく僧侶がやってきて「この子は世界を救うだろう」などと言う。始まってすぐ主人公が「今回の旅は不吉なことが起こる気がする」などと言う。導入部で期待感を生む効果がある。

伏線やヒントのように回収と関係を持つ必要はない。全くなんの関係もなく未来の事態を予言するのだ。わざとらしくなると臭いので、自然な流れにする。回収の出来事のときに覚えている必要はない。序盤の雰囲気作りに役立つ機能だ。

フラグ

ヒントと似たような機能を持っているが「お約束」というイメージが強い。フラグの存在自体が緩いため解釈を広げて前駆体すべてをフラグと言っても通りそうなものだ。「戦いが終わったら結婚しよう」など、願いは叶わないと思ってしまう心理を利用した不吉なものもある。だがしばしばコメディやコミカルな文脈で登場する。また、再言になるが存在自体が緩いので、フラグを裏切ることで意外性を出す、というような使い方もされる。

キャッチ

読者に関心を持ってもらいたいときに登場するのがこれだ。情報が明かされる前段階で情報の前提となる物事を強調する。読者が「なんで?」と思ったタイミングで情報の提示が起こる。タイミングがいい情報提示によって納得感や深い理解が得られる。

主人公の秘密の力(情報)が明かされる(提示)前段階で、秘密の力によってなされた不思議な状況がキャッチとして描かれる。不思議な状況に読者が「なんで?」と思ったところにその理由たる秘密の力が明かされるのだ。

準備

シンデレラ曲線と近しい関係にある。シンデレラ曲線は、シンデレラの物語の中でシンデレラの境遇が上がったり下がったりすることを言う。一般的な三幕構成では主人公の好調が描かれる。とりあえず読者はいい気分になる。それが急転直下、強敵に敗れるなどして最悪の状況になる。ここでは序盤の好調が最悪の状況を引き立てている。それから復活してクライマックスの絶好調となる。ここでは最悪の状況がクライマックスの絶好調を引き立てている。この引き立ての関係が「準備」だ。

物語全般に渡っても仕掛けられるし、会話のシーンで立場が悪くなったり良くなったりするのも準備と言えるだろう。好調や不調の出来事の前に準備を入れることで出来事が強調され面白みが増す。

かませ犬として主人公の友人が強敵に敗北するような展開も準備だ。友人が負けた強敵に主人公が勝利することで主人公の強さが引き立つし、仇を取ったというような演出にもなるだろう。

事実の積み上げ

物語に真実味や納得感を与えるのが事実の積み上げだ。ラストで強敵に勝利する様子を際立たせるには主人公の努力の累積が描かれると効果的な演出になる。この積み上げなしに勝利すると「なんとなく勝ったな」という薄い感動になってしまう。

事実の積み上げは前述の「準備」とともに勝ったり負けたりしながら苦心する様子が描かれるのがいいだろう。