中世ヨーロッパ風ファンタジー世界が現実世界と異なる点は魔物と魔法が挙げられる。ここでは魔法を扱う。魔法はそもそも現実では起こりえないことを起こすことができる。何もないところから火を噴き出すなどだ。
魔法は魔物と同じく昨今のラノベでは大衆化し陳腐化している。限られた少数にしか使えなかったはずが誰でも使えるようになったり、イメージできればなんでも実現できる便利アイテムになってしまったりだ。
1つにはゲームの影響が挙げられるだろう。主人公や仲間たちは当たり前のように魔法が使える。敵が使ってくることもある。広く誰でも使えるという認識の素地がある。また1つには科学的な思考によってファンタジー世界を平等な論理が覆っている。誰かに可能なことは別の誰かにも可能なのだ。物理現象と同じだ。条件をそろえれば同じ現象が現れる。
陳腐化してしまっては面白くない。不便でなければならないのだ。不便な制約の中に面白さが生まれる。文化が花開くのは自由の大空ではなく不便の峡谷なのだ。規制されると規制された中に文化が開花するという事実が雄弁に物語っている。そういう意味では中世ヨーロッパ風というのも古い時代の不便生の中に生まれた文化なのかもしれない。
しかし他方で魔法バトルというのは1つな華だろう。魔法バトルを繰り広げるにはある程度の広がりが必要だ。世界で1人しか使えないのではバトルは生まれない。特定の人物には魔法を使わせる必要があるだろう。これをどのように規定していくかが鍵になるのかもしれない。