Xには「感謝の心を忘れない」ことをことさらに公言する人がいる。感謝の心を持つことはいいことだ。感謝できる精神性を持ち続けることはいいことだ。だけどそのことと「感謝の気持ちを忘れない」と公言することは違う。
感謝とは自然と湧き起こる感情であって、しようとしてする「行為」ではない。であるなら、ただ感謝をしていればいい。感謝の気持ちを伝えればいい。感謝とはそういうものだ。にもかかわらず自分は感謝の心を忘れないぞ、と宣言することには別の意味が潜在している。
酔っているのだ。感謝している自分に。「感謝の心を忘れない」という行為をしている自分は美しい、と自己陶酔している。コンプレックスの一つだ。または別のコンプレックスから来る反動的な感情だ。健全ではない。
このことを理解したのなら自分と向き合ってコンプレックスを解消すべきだ。美しい自分に酔っているのは気持ちいいことだろうが、それは自慰行為だ。そんな恥ずかしい姿をさらしてはいけない。自分自身を見つめて、自分自身の人生をよりよいものにするべく努力したほうがいい。それは健全な姿で、自分に酔うよりも幸福をもたらす。