「レッテルを貼って人を判断してはいけない」と言われる。本当だろうか? 確かに不相応なレッテルを貼られた人は迷惑だろう。好評価のレッテルを貼ったことでだまされることもあるだろう。だけどレッテルを貼って判断すれば効率がいい。そういうやり方を本能に刻み込んで生き抜いたサルの末裔が僕らなんだから、歴史が証明している。
とは言え僕らの進化は文明の発展に追いついていない。進化とは10万年やそこらで起こる変化だ。にもかかわらず人類が人類らしくなってから数千年しか経っていない。詐欺の手口を誰でも学べるインターネットが普及して数十年だ。歴史が証明している、というのは怪しい。
そうだろうか? およその人が人生の中で詐欺師に会うことはない。レッテルを貼ったことで人間関係がマズくなることはまずない。ほとんどの場合はレッテルを貼って判断したほうが効率的だ。レッテルを貼らず慎重に注意深く判断することに時間をかけるより、素早く見分けて好ましい人との友好を進めるほうが有益だ。
人生ではリスクを取らないといけない。リスクなしでは何事も成せず、リスクを取ることで豊かな恵みが得られる。であるなら、レッテルを貼るというリスクを取って人生を充実させたほうがいい。
ただ、バランスを欠くといいことがない。場合によって使い分けるのが肝要だ。有象無象の軽い判断にはレッテル貼りで対応し、重要なことでは慎重に見極めるのがいいだろう。そのあたりを感覚的にかみ分けられるのが世渡り上手と言えるのかもしれない。