カメリアの記事

意味があることやないことを綴ります

思考ノート - ストーリーを物語(=ナラティブ)にする要素

2022/07/18 アニメにしても、ハリウッド映画にしても、そのストーリーを文字にして説明するとつまらない。だから? って感じ。だけど映像作品としてだと全く別物になる。ストーリーを映像として「物語=ナラティブ」にすると面白くなるのだ。きっと小説もそうだ。小説の場合、僕はストーリーを説明的文章に書き換えられないから分からないけれど。ストーリーの要所をつまんで箇条書きにでもすれば、つまらない説明の出来上がり。感動も何もない。これを物語に仕立て上げているのはなんなんだろう。ディテールだろうか。食堂の売れ筋メニューが描かれ、今日の天気が、主人公の口癖が描かれていれば面白みが生まれるのだろうか。そう、説明文が持っていないのはそういう要素だ。または人と人のやり取りだ。ストーリーの途中で起こる言い争いや恋愛模様、一致団結した様子などが描かれることによってストーリーは物語になっていく。おおよそストーリーに関係のある様々な要素が一つになることで面白みが生まれる。ストーリーとは主人公の目的のことではない。主人公の目的と行動にまつわる出来事を順序立てて語ったものがストーリーだ。つまり主人公の目的とは関係なくても、主人公が行動する中で起こる出来事に関係していればいい。だから主人公の目的が魔王を倒すことであったとしても、主人公が魔王を倒す過程で立ち寄る食堂の売れ筋メニューには面白みの素がある。売れ筋メニューから感じ取れるその世界の雰囲気には、ストーリーを物語に昇華させる秘薬が含まれているのだ。僕らはきっと究極的には主人公について知りたいのだ。主人公を知る、つまり人を知るために最も見るべきものは行動だ。主人公が何をするかが重要になる。それを知ることが面白みなのだ。または主人公はどこにいるのか? どんな世界にいるのかを知ることは、架空のストーリーの主人公を知るのに役立つだろう。だから世界観を描くことが面白みにつながる。世界観の一部として食堂の売れ筋メニューが登場する訳だ。そうそう、僕自身が求めないから忘れがちなのだけど、主人公が何を考えているのかも重要だ。何を考えているかを知れば、その人を知ることになる。考えていることを提示するのは面白みにつながるだろう。そういった諸々のことが面白さを作り出している。しかし面白くない物語もある。ストーリーがそもそもつまらないのかもしれない。そうでないにしても語りが下手ということはあるだろう。語りが下手というのはつまり、物語=ナラティブの構築に失敗しているのだ。何が失敗につながるんだろう? 何が不足して、何が余分なんだろう? 面白い作品とつまらない作品を比べてみないと、はっきりとは分からない。僕の好みに合う作品が限られていることもあり、これはちょっと難しい。またの機会にするとして。何がナラティブ構築の失敗につながるか。同じことを書いても面白いかつまらないかは変わってくる。同じ食堂の売れ筋メニューを書いても、事は変わってくる。もちろん「カツ丼が売れ筋メニューだ」と説明的に書くよりも、入る客が誰も同じようにカツ丼を注文する様が様子として描かれると面白みは増すはずだ。それとも客がおすすめを尋ねて店主が答え、それを聞いていた主人公が「ああみんな食べるんだな」と感心しながら自分もカツ丼を注文するとか、方法はいろいろあるだろう。その方法の選び方がいちいち上手いと面白いのか。何か小手先の技という印象がある。それとも食堂の売れ筋メニューではない他のものを選ぶと面白くなるだろうか。世界観の見せ方は無限にあるだろう。いや、そもそも世界観にこだわっても仕方ない。見せ方というのであればシーンの見せ方というのもある。咬ませ犬が敗北しているだけで、その後に戦う主人公のシーンはぐっと面白くなる。いやいや、それこそ小手先の技なのでは。と言うか、小手先の技の積み重ねが面白さを生んでいるんだろうか。そうかもしれない。小説でなら文字数による時間感覚を操作することは小手先の技のようではあるけれど、どう感じさせるのかという重要な要素でもある。あれ、冒頭で「そのストーリーを文字にして説明するとつまらない。だから? って感じ」と書いたけど、ストーリーを聞いて「面白そうだね!」ということはある。これはストーリー自体が面白いというより、そのストーリーが物語になったなら面白そうだと感じているはずだ。そのとき僕らは何を期待しているんだろう? それこそが面白さの本体なんじゃないだろうか。いや、とは言え実際に読・視聴してみるとつまらないことも普通にある。いやいや、だから何を期待しているのか、という話になる。期待外れとは何がどうだったのか。というか面白さとは取りも直さず気分の良さとかそういうものじゃないだろうか。気分いいことがあるかどうか。快感が得られるかどうか。つまりストーリーに付加される要素がどうであると快感なのか。やっぱり読んでみないと分からないな。疲れてきたし、ここまで。