カメリアの記事

意味があることやないことを綴ります

加速度的と指数関数的

何かが増加量を増しながら増加しているとき「加速度的に増えている」と言います。でも加速度は「増え続ける性質」のものではありません。自動車や飛行機が加速しているとき、増え続けているのは「速度」であって「加速度」ではないのです。

発祥

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この誤解が生まれたのは、推測するに、高校で微分を教わったときの記憶から来るのではないでしょうか。二次関数の傾きとして「加速度」という語が出てきました。このときの二次関数はいわゆる加速度的に増えていますので、イメージとしてはこれかな、と思う次第です。

気にしない

つまり「加速度的に」という表現は間違いです。間違いですが、気にしない人は大勢いるでしょうし、感じるところがありつつ受け入れているという人もいるでしょう。読者の立場として引っかかるところではないのです。

気にするなら

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しかし作者の中には正確を期する人がいるようです。「指数関数的に増えている」という表現を使う人です。指数関数は増加量が増加しているので曲線を描いて急になっていきます。ちなみに、これをして「加速している」とは正しい表現かと思いますが、加速度的ではありません。

伝えるなら

とは言え、数学が苦手であることを明言する人も少なくない中、指数関数的では伝わりません。正確に書いても伝わらないと意味がないので使いにくいでしょう。一般的な文章中では「加速度的」がふさわしいはずです(学術書の中で使うには指数関数的がいいように思うのですが)。ただし公文書など理解の容易性とともに正確性が求められる場においては「増加量を増しながら増えていっている」というような文章にするのがいいように思います。